1.タンパクレベルでの解析:抗LFA-1抗体(2F12)をもちいて胃癌細胞株MKN45.16より免疫沈降を行ない、SDS-PAGEによる解析を行なった。その結果、約200KDのブロードな分子量からなる単量体であり、N-結合型糖鎖を有する糖タンパクである事が明らかとなった。白血球LFA-1と異なり、インテグリンβ2鎖のassociationは認められず、2次元電気泳動では等電点6.0のシングルスポットとして検出された。 遺伝子解析:LFA-1特異的プライマーとRT-PCR法を用いたメッセージレベルの解析で、MKN45.16細胞ではLFA-1遺伝子が発現していない事が示され、ノーザンブロッテイングでも確認された。また、low stringency下でハイブリダイゼーションを行なったところ、LFA-1メッセージよりも僅かに大きなサイズ(5.5-6Kb)のメッセージが確認された。これらのことより、LFA-1様抗原をコードする遺伝子はLFA-1遺伝子とは異なるが、ある程度ホモロジーがある事が示唆された。 LFA-1様抗原遺伝子のクローニング:MKN45.16細胞より真核細胞発現ベクターpME18Sを用いてcDNAライブラリーを作製しcos-7細胞に発現させた。Seedらの方法の変法によりLFA-1様抗原遺伝子の濃縮・単離を行ない、最終的に2個のcDNAクローンが得られた。これらについて塩基配列の決定を行なったが、いずれのクローンも終始コドンにより分断されており、LFA-1様抗原をコードしえないことが示唆された。また、本法ではバックフランドが高いためクローンの濃縮高率が悪く、LFA-1様抗原遺伝子のクローニングには適さない事も判明した。そこで、LFA-1様抗原を精製し、部分ペプチドのアミノ酸配列の決定およびそれにもとづきクローニングを行なう事とし、現在、それらに着手しているところである。
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