研究課題/領域番号 |
06670177
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 筑波大学 (1995) (財)大阪バイオサイエンス研究所 (1994) |
研究代表者 |
坂本 和一 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (90235169)
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研究分担者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医化学教室, 教授 (80201325)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | プロスタグランジンF_<2α>受容体 / 遺伝子発現 / 黄体退縮 |
研究概要 |
我々は、プロスタグランジン(PG)F_<2α>の生理作用およびその作用機序を知るためにかねてより同受容体のcDNAクローンの単離を試みていたが、最近PCR法を用いてウシ黄体のcDNAライブラリーより全長の長さを持つcDNAクローンの単離に成功し、そのタンパク質の分子構造を明らかにすることに成功した。このcDNAクローンを動物培養細胞(COSおよびCHO)中で発現させたところ膜分画に対する特異的なリガンド結合活性が見られ、またアフリカツメガエルの卵母細胞において典型的なCa^<2+>依存性Cl^-チャンネル電位変化が見られた事などから、このクローンが機能的な受容体タンパク質のcDNAクローンであることが同定できた。さらにこの受容体mRNAの組織分布を調べてみると、5kbの長さのmRNAがウシの黄体組織に極めて特異的に発現しており、その発現量は発情周期や妊娠期の時期の違いに応じて著しく変化していることが明らかになった。すなわち発情周期黄体においては初期から中期にかけて受容体mRNAの発現の上昇が起こり、後期で最大量に達した後、退縮期を迎えるととともに極端な減少が見られた。一方、妊娠期黄体においては妊娠初期から中期にかけて強い発現が見られたものの、妊娠後期においてはほとんど発現が認められないことが判明した。これらの結果より、PGF_<2α>受容体は黄体におけるmRNAの発現量が極めて厳密にコントロールされており、発情周期においては黄体の退縮すなわち黄体細胞のアポトーシスに深く関与し、また妊娠期においてはむしろ黄体の機能維持に働くなど、正常な生殖生理機能の維持に極めて深く関与していることが明らかになった。現在は、すでに同受容体遺伝子の単離を終え、転写調節に関与するDNA領域およびその転写調節因子を同定し、受容体RNAの発現調節のメカニズムの解析を急いでいるところである。
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