私どもは前立腺癌組織標本におけるアンドロゲンレセプター(AR)の局在と組織型、及び悪性度の関係、種々の増殖因子の発現、及び内分泌細胞マーカーであるクロモグラニン(CgA)の前立腺癌患者の血中レベルを検討した以下の柄を明らかにした。 1.前立腺癌の組織分化度とARの発現及び増殖細胞のマーカーであるKi-67が相関する。 2.前立腺癌の増殖因子中、IGF-Iは上皮、間質の両者に認められたが、EGFRは上皮のみに、TIMP-II、BMP-2は間質のみに発現した。これらの因子は前立腺癌の増殖の制御に関与していると考えられる。 3.前立腺癌患者及び神経内分泌腫瘍患者の血中CgAの値をELISA法で検討した。神経内分泌腫瘍患者は全例血中CgAの値が異常高値を示した。前立腺癌患者35例中4例が高値を示し、そのうちStage D2が3、Cが1例だった。また血中CgAの値は血中PSAの値とは相関を示さず、内分泌への分化を示す進行癌のマーカーとして注目すべきである。
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