研究課題/領域番号 |
06670182
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増田 高行 東北大学, 医療技術短期大学, 教授 (00113910)
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研究分担者 |
斉藤 昌宏 秋田大学, 医学部, 助手 (70162229)
西平 哲郎 東北大学, 医学部, 助教授 (50101142)
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キーワード | 食道 / 異形成 / 癌 / P^<53> / 塩基配列 |
研究概要 |
進行した食道癌の中には、異形成を伴う結節状型と異形成を伴わない結節状通常型の二種類の食道癌が存在することが我々の検索で分かった。食道癌では既に高頻度で癌抑制遺伝子p53異常が指摘されている。そこで試験的にこれらの食道異形成病変部のp53遺伝子異常を検索したところ、すべてに変異が見られ、すべてトランジション型の変異であった。そこで食道異形成病変の遺伝子異常が本当にトランジション型であるか否か症例を増やして検索を行なった。その結果、検索した限りではすべての症例でトランジション型を示し特異な群を形成しているものと推測された。次に、異形成を伴わない通常型の食道癌がトランジション型であるか、トランスバ-ジョン型であるかの検索を行なった。 我々の検索方法は、組織学的に食道癌の確認されている連続した未染色のパラフィン切片材料を用いて、限定した微小な病巣のできるだけ上皮細胞のみを細い金属性針で採取し、p53遺伝子異常をPCR法で増幅している。その後、ABI DNAシーケンサを用いてダイレクトシーケンス法で検索している。顕微鏡下でできるだけ微小な異常部分のみを採取し検索しているために比較的解析結果が明瞭となっているが、正常細胞の結果の影に異常な結果が隠れてしまう傾向があり、従来は疑わしい症例についてはPCR産物をサブクローニングし前述の検索結果を確認する操作を行なっていた。しかし、この方法では時間と経費がかかり多数の臨床症例を検索するには適当とは言えなかった。そこで、本年度は更に検索の能率を上げるために、PCR-SSCP法も検討した。ミニゲルによる非放射性システムによるSSCP法の装置を工夫改良し検索に用いた。よく認められる変異部位の検索には比較的威力を発揮するが、稀にしか見られない変異部位では感度の問題があり必ずしも十分な結果を得ることができなかった。現在、ミニゲルによるSSCP上の異常バンドを切り出し、これまでと同様にしてDNAシーケンスを行ない精度を確認している。これまでの検索結果では異形成を伴わない通常型にはトランスバ-ジョン主体の結果を得ているが、更に症例を増やし検索を続ける必要がある。
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