研究課題/領域番号 |
06670193
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石原 得博 山口大学, 医学部, 教授 (70089910)
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研究分担者 |
星井 嘉信 山口大学, 医学部, 助手 (00263773)
高橋 睦夫 山口大学, 医学部, 助教授 (50112230)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | アミロイド / アンギオパチー / 脳血管 / β蛋白 / シスタチンC / アポリポタンパクE / 免疫組織化学 / 免疫電顕 |
研究概要 |
高齢者には高血圧性脳出血例を除くとアミロイドアンギオパチー(CAA)による脳皮質下出血例が比較的高頻度にみられる。CAAのアミロイド蛋白はβ蛋白であるが、脳皮質下出血例の脳血管のアミロイドには高頻度にシスタチンC (CtsC)が沈着している。しかしながら、CysCはアミロイド線維の構成成分ではなく、β蛋白由来のアミロイドが沈着した後に沈着すると考えられている。本研究では脳皮質下出血の手術例29例、5例の高齢者(脳腫瘍手術例)のCAAおよび2例のアルツハイマー病の脳血管について組織学的、免疫組織学的(抗β蛋白、CysCとアポリポプロテインE : ApoE抗体を用いて)、電顕的および免疫電顕的(抗β蛋白、CysCとApoE抗体)に検索した。CAA手術例29例全例のアミロイドは抗β蛋白およびApoE抗体と反応し、26例(89.7%)で抗CysC抗体との反応がみられた。非出血例の脳血管ではアミロイドは抗β蛋白とApoE抗体と反応したが、抗CysC抗体との反応は認められなかった。電顕的検索では初期にはアミロイド線維が中膜の外膜側の平滑筋細胞周囲に沈着し、次第に中膜平滑細胞間に増加し、中膜を完全にアミロイド線維で置換することを明らかにした。免疫電顕的検索ではアミロイド線維には抗β蛋白抗体と反応した金コロイドの付着がみられたが、抗CysC抗体と反応した金コロイドの付着は証明出来なかった。ApoEの沈着はβ蛋白がアミロイド線維となった後であり、また非出血例にもの陽性であるので、脳皮質下出血の原因となる血管の破綻には必しも関与していない。CysCはアミロイド線維の構成成分でなく線維間に付着するが、CysCがアミロイド線維に付着することにより血管壁が脆弱となり破綻しやすくなった可能性が強いと考える。しかしながら、血管破綻に対するCysCの作用機序に関しては不利な点が多くさらなる検索が必要である。
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