研究課題/領域番号 |
06670197
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三杉 和章 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50106332)
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研究分担者 |
佐々木 佳郎 神奈川県立こども医療センター, 部長
宮城 洋平 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00254194)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10217995)
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キーワード | 乳幼児腫瘍 / 神経芽細胞腫 / マス・スクリーニング / TrkA / LNGFR / アポトーシス |
研究概要 |
1.研究内容の要約 マス・スクリーニングで発見される神経芽腫のLNGFR(低親和性神経成長因子受容体)、tissue transglutaminase(TG)の遺伝子発現を検討した結果、スクリーニング例のうち少なからずのものがLNGFRを介したアポトーシスによる退縮機構が関与している可能性が示唆さた。 2.研究目的 プログラムされた細胞死の概念は腫瘍細胞の増殖様式を考えるうえで、細胞分裂と並んで不可欠のものとなりつつある。本研究では、ヒト腫瘍の自然退縮例をモデルとして、実際の腫瘍の増殖、退縮におけるアポトーシスの関与を分子レベルで明らかにすることを目的とした。 3.研究方法とその結果 小児の神経系腫瘍である神経芽腫では、生後6カ月の乳児の尿中カテコールアミンの増加を指標とするマス・スクリーニングが行われているが、スクリーニング例ではしばしば腫瘍の自然退縮が観察される。スクリーニング例43例、非スクリーニング例14例、LNGFR、TGの遺伝子発現を比較検討した結果、TGの発現亢進がスクリーニング例18例と化学療法後の非スクリーニング例1例で見られた。LNGFRの高発現はスクリーニング例の13例で見られたが、このうちTG高発現例は約85%の11例を占め、我々が実際に自然退縮を観察した1例はこれに含まれた。 4.考察 神経芽腫スクリーニング例に見られる自然退縮では、FAS抗原と相同性を持つLNGFRを介するアポトーシスが起こっているものと考えられる。今後、LNGFRの発現レベルを指標に、手術を施さずに自然退縮を持つことができる可能性が示唆されると同時に、進行例におけるアポトーシス誘導療法の研究にも有用な結果と思われる。
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