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1995 年度 実績報告書

胃腺腫・胃癌の分子病理学的研究-胃におけるadenoma-carcinoma sequenceの分子病理学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 06670201
研究機関岩手医科大学

研究代表者

田村 元  岩手医科大学, 医学部, 助手 (20207244)

キーワード胃癌 / 胃腺腫 / 遺伝子異常 / 癌抑制遺伝子 / 染色体欠失 / ゲノム不安定性
研究概要

大腸癌の発生・進展の過程では癌遺伝子K-rasの活性化、癌抑制遺伝子APC (adenomatous polyposis coli), p53およびDCC (deleted in colon cancer)の不活化がadenoma-carcinoma sequenceの各段階に対応して多段階的に発生、蓄積している。胃の分化型腺癌も大腸癌と同様の遺伝子的発生経路によって、腺腫から発生している可能性が指摘されていたが、胃癌の分子発生に関する研究は少なく、さらに胃腺腫の遺伝子異常はほとんど検索されていなかった。本研究の結果、分化型胃癌ではp53の変異、DCCの欠失が高率に検出されるが、K-rasの変異は稀であり、APCの変異も超高分化型胃癌に認めれることが報告されているが、毎常みる中〜高分化型胃癌では少なかった。胃腺腫では、APCの変異が20%前後に認められる以外に高率に検出される既知の遺伝子異常はなかった。従って、分化型胃癌の分子発生は大腸癌と異なっており、胃におけるadenoma-carcinomaを裏付ける遺伝子的な根拠は証明されなかった。さらに、胃腺腫の前癌病変としての意義を検証するために、allelotypeおよびgenetic instability を解析し、分化型胃癌と比較したところ、分化型胃癌では早期癌の段階ですでに複数の染色体上にloss of heterozygosity (LOH)やreplication error (RER)が検出されるのに対して、胃腺腫ではLOHやRERが検出されることは極めて稀であった。胃腺腫では遺伝子異常の蓄積が少ないことが、癌化率の低さに対応していると考えられる。これらの成績から、分化型胃癌の多くはde novo発生と推測された。さらに、分化型胃癌におけるallelotype解析の結果から、染色体5qおよび21q上のそれぞれ2ヵ所に共通欠失領域を同定した。胃癌で高率に見いだされる5q欠失の標的遺伝子はAPCではなく、IRF-1 (interferon regulatory factor-1)が候補のひとつと考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 田村元: "胃と大腸の分化型腺癌にみられる遺伝子異常" 消化器内視鏡. 7. 181-187 (1995)

  • [文献書誌] Sakata K., Tamura G., Maesawa C. et al.: "Loss of heterozygosity on the short arm of chromosome 9 without p16 gene mutations in gastric…" Jpn. J. Cancer Res.86. 333-335 (1995)

  • [文献書誌] Tamura G., Sakata K., Maesawa C. et at.: "Microsatellite alterations in adenoma and differentiated adenocarcinoma of the stomack" Cancer Res.55. 1933-1936 (1995)

  • [文献書誌] Maesawa C., Tamura G., Suzuki Y. et al.: "The sequential accumulation of genetic alterations characteristic of the colorectal adenoma-carcinoma…" J. Pathol.176. 249-258 (1995)

  • [文献書誌] Tamura G., Ogasawara S., Nishizuka S. et al.: "Two distinct regions of deletion on the long arm of chromosome 5 in differntiated adenocarcinomas…" Cancer Res.(印刷中).

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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