研究課題/領域番号 |
06670205
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
堤 寛 東海大学, 医学部, 助教授 (80138643)
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研究分担者 |
吉村 真一 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
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キーワード | 口蓋扁桃 / 網状粘膜 / 上皮細胞間リンパ球 / 免疫組織化学 / 酵素抗原法 / インフルエンザ杵菌 / B-1細胞 / 胸腺外分化T細胞 |
研究概要 |
ヒトロ蓋扁桃を覆う網状粘膜は、B細胞・形質細胞を中心とする単核球浸潤と毛細血管網の存在で特徴づけられた。形質細胞は IgG 型が主体で主として粘膜の下半分に分布していた。粘膜上半部に多いB細胞には、bcI-2 陽性、CD1O. CD23陰性の mantle zone 型、sIgD・CD5・CD24 陽性の mantle zone型、CD10・DNA7陽性の germinal center 型、および CD11b 陽性、CD16 陰性の B-1 型の4種が観察された。CD5 陽性B細胞の存在は、免疫電顕二重染色法により確認された。網状粘膜におけるT細胞としては、CD4 陽性のTH細胞が主体であった。少数ながら、CD56・TCRγδ陽性の胸腺外分化T細胞と思しき細胞の分布も確認された。B-1 細胞や胸腺外文化T細胞は、発生学的に古く、自己反応性を示すことが知られている。これら細胞群の扁桃における機能的意義は今後の検討課題である。また、口蓋扁桃における網状上皮細胞間におけるB細胞分化に関しては、胸腺髄質との発生学的・形態的および機能的な類似性が注目された。 酵素抗原法による Hemophilus influenzaeに対する特異抗体産生の観察に関しては、予想以上の困難が経験された。当初予定していた最近 DNA からのランダムな標識抗原作製法は、手技ならびに抗原の安定性からみて適切な方法でなかった。そこで、すでにDNA 塩基配列の報告されているH. influenzae 由来蛋白(protein D、脂肪酸結合蛋白)をねらって MBP 標識リコンビナント蛋白の作製を試みた。残念ながら、現在のところ、満足のゆく標識抗原は得られていない。その原因は、これら細菌蛋白に対する特異抗体が準備できなかった点と、目的とする蛋白分子のどの部分が標識抗原として最適なのかの検討が不十分だった点にあった。今後も、酵素抗原法の第一歩である標識抗原作製法の確率を目指して一層の努力を重ねてゆきたい。
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