研究概要 |
種々の軟部腫瘍について病理組織学的および免疫組織化学的に分析し、一部の例では染色体分析およびfluorescence in situ hybiridization(FISH)に成功した。 (1)皮膚線維腫(dermatofibroma,表在性線維性組織球腫)は本態に異論の多い腫瘍状病変であるが,45例について種々の細胞マーカー(PCNA,HAM56,CD68,vimentinなど)を用いて免疫組織化学的分析を行った。そして増殖細胞の主体が線維芽細胞(PCNA+,HAM56-,CD68-vimentin+)であり,間質に出現する組織球は腫瘍細胞ではなく反応性細胞(PCNA-HAM56+,CD68+)であることを証明し,その成績をCanser 1994;74:66-73に発表した。 (2)腱鞘巨細胞腫(giant cell tumor of tendon sheath)は破骨型巨細胞の出現を特徴とする起源不明の良性腫瘍である。本腫瘍19例について免疫組織化学的分析を行い,増殖の主体は組織球マーカー陽性の単核細胞であり,破骨型巨細胞には増殖能力のないことを明らかにした(Pathol Int 1995;45:147-155)。 (3)類上皮肉腫(epithelioid sarcoma)の染色体分析により,新たな染色体異常der(22)t(18;22)(qll;p11.2)を見出し、滑膜肉腫の18q11との類似性を指摘した(International Academy of Pathology,Hongkong,Oct.10-14,1994)。 (4)このほかの軟部腫瘍の培養および染色体分析は,悪性線維性組織球腫,脂肪肉腫,滑膜肉腫,未分化神経外胚葉性腫瘍などについて検索を進めており、一部の例では染色体の転座を確認するためにfluorescence in situ hybridization(FISH)に成功した。
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