研究概要 |
Melbylazoxy on ethamol(MAM)acetate及び1-hydroxyanthraquinone(1-HA)によりラットに誘発された大腸腫瘍と大腸発癌背景粘膜についてサイトカインの発現をtumor necrosis factor-α(TNF-α)とinterleukin-1α(IL-1α)について検討した。MAM acetateやIHA投与を行ったラットの非腫瘍性大腸粘膜にてTNF-αとIL-αは対照群に比し増加し、すべての大腸腫瘍においてさらに強い増加傾向を認めた。これらのサイトカインの発現と大腸における癌化との関係が推定される。 アラキドン酸はホスホリパーゼA_2の活性以外にホスホリパーゼ(CPLC)からも生成される。PLCはβ,γ,δの3種のアイソザイムを有するが、今回MAMacetateによるラット大腸発癌モデルでPLC-δの発現が正常粘膜より低下していることを見出した。この結果はPCL-δ遺伝子の発現異常にもとづく情報伝達のアンバランスと腫瘍形成の相関性を示唆するものと考えられる。炎症関連性の酵素発現とサイトカイン発現によるネットワークにより生理活性物質の情報伝達系へのかかわりが、細胞増殖や大腸腫瘍の発生に関連することが示唆される。 大腸発癌の初期段階における細胞増殖性とapoptosisとの相関性についてazoxymethane(AOM)投与初期のラット大腸粘膜にて解析した。AOMの投与により大腸粘膜においてapoptosisは4時間後より観察され、8時間後にはピークに達した。3日後にはapoptosisは減少し、細胞増殖が増加し、7時間後には正常レベルに戻った。AOMによるapoptosisは細胞分裂の抑制を誘導し、PCNAの塗色性はAOM投与初期初期では細胞回転の停止に関係して細胞増殖部位を認識しないことが分った。
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