研究概要 |
1.DBA/2→(DBA/2×C57BL/6)F_1系(D2-GvHR)とは異なるCD4相対的活性化型慢性GvH反応・GvH病の実験系としてBALB/c→(BALB/c×A/J)F_1系を新たに用いた。免疫臓器としての脾細胞の動態を,GvHRの細胞性機序とGvHRの標的組織変化を知る目的で調べた。(1)D2-GvHRと同様にCD4/CD8比>1で,CD4優位を示した。特にGvHR2週目において同比は4以上と著明なCD4T細胞増生のあることを示した。(2)慢性GvHRの特徴の1つであるB細胞の比率の増加は,GvHR2週目にはみられず,かえって低下を示し,3週目以降に50%以上の高値を示した。(3)F_1hostからCD4又はCD8T細胞除いてGvHRを誘導しても,反応の基本パターンは変化せず,D2-GvHRの場合のhostT細胞とはGvHRに対する関与の仕方が全く異なっていた。 2.GvHRにおける標的臓器としての胸腺の変化:急性GvHRでは高度の,慢性GvHRでは軽度の胸腺萎縮が,皮質域の胸腺細胞の減少としてみられた。(1)B6-GvHRでは,GvHR10日以降の急激な胸腺萎縮の直前にアポトーシス細胞の割合の増加とS期細胞の割合の低下がおこった。(2)この現象にはグラフト細胞の胸腺への侵入・反応と,TNF産生が関連していると考えられた。(3)D2-GvHRでは,B6-GvHRと比較すると,これらの変化は小さかった。 3.ATH・ATLを用いたCD4選択活性化型慢性GvHRにおけるgraftT細胞の動態と,in situでの作用を明らかにする為に,両系統にT細胞細胞表面抗原としてThy1.1抗原の導入をはかった。backcross,intercrossを進めてきて,今回両系統にThy1.1陽性コンジェニック系統を作製できた。
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