1.P→F_1システムによる慢性GvH反応・GvH病誘導時の脾におけるT細胞動態。(1)MHCクラスII抗原コンジェニック系統であるATHとATLの組合せでは、CD4T細胞の選択的活性化がおこった。(2)DBA/2→(C57BL/6×DAB/2)F_1とBALB/c→(BALB/c×A/J)F_1ではCD4T細胞のCD8T細胞に対する比較的優位の活性化がおこった。この反応がおこる為には、D2-GvHR系では、ホストCD8T細胞の存在が必須であったが、BALB-GvHR系ではグラフトCD8T細胞の反応そのものがCD4T細胞の反応に比較して弱いと考えられた。(3)GvHRの脾では常にCD4/CD8比が1以上であり、CD4T細胞優位を保っていた。 2.慢性GvH反応における胸腺の変化。(1)急性GvH反応(B6-GvHR)では5〜7日目に胸腺重量の増加がみられ、その後急激な重量減少がおこる。この時急激な皮質の萎縮に先立ってアポトーシス細胞頻度の一過性の増加がみられ続いてS期細胞頻度の低下がみられた。(2)慢性GvH反応(D2-GvHR)では胸腺萎縮はB6-GvHRほど著しくはないが、萎縮の進行に先立つ現象はB6-GvHRと同様であった。(3)胸腺萎縮にはグラフトT細胞の胸腺内浸潤と、TNF産生が関連していると考えられた。 3.慢性GvH病の肝病変。(1)肝ではグリソン鞘にリンパ球浸潤がみられた。胆菅上皮内へのリンパ球浸潤は、非化膿性破壊性胆菅炎の所見と考えられた。(2)GvH反応誘導2日目には胆菅上皮にMHCクラスII抗原の発現が認められた。この発現には現状でのIFN-γの産生が関連していると考えられた。 4.実験系の開発。(1)GvH反応に関与するT細胞のホスト又はグラフト由来を明瞭に区別する為に、T細胞マーカーとしてThy1.1抗原をATL、ATHの両系統に導入した。バッククロス世代数を重ねることにより両系統にThy1.1コンジェニック系統が確立された。
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