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(1)増殖刺戟下の変異原・癌原物質の急性染色体切断増強作用:正常ラットに変異原・癌原物質を投与すると、骨髄増殖刺戟下での切断頻度を比較してみると、骨髄増殖刺戟のあるほうが著明に上昇し、逆に輸血により多血症にしたラットでは骨髄増殖抑制効果のためCA頻度は減少した。多血症ラットでもエリスロポイエチン(EP)を投与するとCA頻度は再び上昇した。これらの事実は、増殖刺戟を受けている標的細胞では変異原・癌原物質によりCAが増加することを示しており、増殖中の細胞ではヒストンないし非ヒストン蛋白で防備されたDNAが無防備の状態にてっている可能性を示している。染色体内分布は、No.1染色体では動原体からの相対距離で40%の部位に、No.2染色体では30%、55%、80%の部位に切断が頻発し、切断部位の分布はpeakの出現が増殖刺戟がある場合にはより強調され、増殖抑制がある場合にはpeakの出現は抑制された。(2)増殖刺戟下での変異原・癌原物質による姉妹染色体交換の増強効果:ラット骨髄細胞、肝細胞及び線維芽細胞を用い、それぞれEP、肝細胞増殖因子(LGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)存在下で変異・癌原物質を投与し、標的細胞の染色体に及ぼす作用についてin vivo及びin vitroで増殖刺戟下での姉妹染色体交換頻度は上昇し、SCE発生部位の染色体内分布は、CAの好発部位と類似し、No.1染色体では動原体からの相対距離で40%の部位に、No.2染色体では30%、55%、80%の部位にSCEが頻発した。即ち、いずれの系でも標的細胞に増殖刺戟があるとSCEは著明に上昇し、増殖抑制があるとSCE頻度は減少した。染色体切断と姉妹染色分体交換は増殖ないし抑制刺戟により同様の変化を示す事が明らかとなり、関連した現象である事が推察される。
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