研究課題/領域番号 |
06670230
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
杉原 甫 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50039509)
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研究分担者 |
戸田 修二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80188755)
米満 伸久 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (60145191)
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キーワード | 脂肪組織 / 脂肪細胞 / 増殖 / 小型脂肪細胞 / 細胞外基質 / 分化 / 肥満 |
研究概要 |
肥満は、脂肪組織の過度の増加である。脂肪組織を構成しているものは、殆んどが、脂肪細胞であるので、肥満を細胞学的に表現すると、脂肪細胞の体積の増加(肥大)、あるいは細胞数の増加ということになる。前者の問題は、脂質代謝に関することであり、生化学的に検討されてきた。しかし、後者、即ち脂肪細胞の増殖という問題は取り上げられることが少なかったので、今回、検討するものである。それには、まず、液中で浮遊し、培養が困難であった成熟単胞性脂肪細胞を培養条件下に捕捉する必要がある。我々は、コラーゲン・ゲル基質という生理的な細胞外基算の中に包埋培養することで、この問題を解決した。材料は、ラット(生後5日〜7週令)及びヒトの腹部皮下脂肪組織である。その結果、生後5日〜2週令のラットと、ヒトでは、単胞性脂肪細胞から、線維芽細胞が生じ、これは、我々も従来から、報告してきたものであるが、ラット3〜6週令では、新らたな分裂様式をみとめた。それは小型脂肪細胞の誕生と発育である。単胞性脂肪細胞の核が分裂した後、一方の核に接して小型脂肪滴が生じ、小型脂肪細胞として派生していった。脂肪合成促進因子のインシュリンは、この機序を促進した。また、小型脂肪細胞は単胞性脂肪細胞内部にも生じた。アテリシン・デアミナーゼ等、脂肪分解促進因子は、これを促進した。二つの様式で生じた小型脂肪細胞は大型化し成熟した。以上、小型脂肪細胞を介する、新しい分裂様式を見出し得た。
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