研究概要 |
日本人患者7人のプール血清の中から、段階希釈によるRT-PCR法でC型肝炎ウイルス(HCV)の核酸の陽性のエンドポイントが高いと判定された血清No.4とNo.6をchimpanzeeに接種し、最終実験結果として、No.4の血清感染価は10^2CID_<50>/ml未満、No.6は10^<5.5>CID_<50>/mlとなり、No.6が高感染価血清である事が判明した。接種前の実験でNo.4はNo.6より10倍感染価が高い事が予測されたが、実際の感染価と血中HCV-RNA量は必ずしも一致しないという事が判明した為、感染価とHCV遺伝子の核酸変異を調べ、両者の関係について検討をする目的で研究を開始した。本年度は感染実験により得られた各週のchimpanzee血清中のHCV RNAの有無を調べ、陽性血清よりHCVcDNAの核酸配列を解析した。まずヒトNo.4,No.6血清、感染が成立したchimpanzeeの内no.215の血清50μ1を用いてacid gunidinium thiocyanate-phenol-chloroform methodを用いてRNAを抽出し、reverse transcriptaseにてcDNAを作製、polymerase chain reaction法を用いてcDNAを増幅し、HCVcDNAをplasmid vectorに挿入し、transformationを施行、LB/Amp plateに蒔きcolonyを10個pick upし、DNAを精製、dideoxy法にて塩基配列を検索した。検索は未だ全て終了した訳ではないが、感染チンパンジーよりpickupしたcolonyのhypervariable regionの塩基配列はほぼ同じものあるいは非常に類似したものの可能性があり、pick upするcolonyの数を更に増やして検討する必要があるものと考えられる。本年度の研究では基本的な実験技術上は問題は無いが、血清の保存場所がそれぞれ異なり研究開始までにも時間がかかり、研究進展状況が実験開始前に立てたtime schedule通りには行かない事が問題であった。本年度の結果を考えた場合、次年度は当初の予定より検索事項が増え実験のspeed upをはかる必要がある。
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