研究概要 |
我々は現在まで、「MRL/lpr→MRL/+」キメラマウスにみられるwasting syndrome(lpr-GVHD)について研究を行ってきた。その過程で2種の単クローンを樹立した。一つはF6C7抗体(IgG2b,k)で、多くの血球系細胞と反応した。その反応抗原は、約78kDaと70kDaのヘテロダイマーであった。FACSを用いて解析すると、F6C7反応抗原は、顆粒球とB細胞に多く(++)分布していた。また、T細胞については、胸腺細胞・末梢T細胞ともに弱陽性(-から+)を示した。さらに、末梢T細胞をin vitroで刺激して、F6C7反応抗原の変化について検討した。興味あることに、自己リンパ球混合培養反応によって活性化されたCD4^+あるいはCD8^+T細胞はいずれも、F6C7反応抗原の著名な増加(++)を示した。同種リンパ球混合培養反応では、CD4^+T細胞のみが強陽性(++)となり、CD8^+T細胞は弱陽性にとどまった。これらの結果は、F6C7反応抗原がT細胞の活性化,特にその活性化刺激(自己に対する反応)に関連していることを示している。実際に自己免疫疾患を自然発症するMRL/lprマウスでも比較的早期にF6C7反応抗原が強陽性のT細胞の増加が認められた。 他の一つは、25T3抗体(IgM,k)で、末梢CD8^+T細胞の70〜80%とCD4^+T細胞の約30%が陽性に染色された。25T3反応抗原はT細胞にのみ存在し、その分子量は約70kDaであり、glycophosphatidylinositolによって膜上にアンカーされていた。この抗体により、末梢CD4^+T細胞を2つのsubsetsにソーテイング後in vitroで抗CD3抗体によって刺激し、機能を比較した。25T3陽性細胞は陰性細胞よりも、IC-2を多く産生したが、IL-4の産生は低かった。従って、25T3陽性細胞は、比較的Th1にまた陰性細胞はTh2に属すると考えられた。 現在これら抗原の機能との関連について検討し、さらにクローニングを試みている。
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