研究概要 |
a)キメラマウス大腸発癌のC3H 系統特異抗体およびマイクロサテライトプローブによる解析 集合法によりC3H【tautomer】BALB/cキメラマウスを作成し、DMH により大腸腫瘍を発生させ,C3H系統特異抗体による免疫組織化学により腫瘍の系統由来を決定した。病変を小異型増殖巣,腺腫,腺癌に分類した.小異型増殖巣は全て,腺腫,腺癌のほとんどは何れかの系統由来の単クローン性増殖を示したが,1例の腺腫(66例中)と9例の腺癌(85例中)がC3HとBALB/c由来腫瘍の接合型であった.腫瘍組織切片より切出し、DNAを抽出しマイクロサテライトプローブを用いPCR/SSCP法により系統判定を行った結果,免疫組織化学的な判定と一致し,接合型では両者由来のDNAが検出された.これらの結果,単クローン性と信じられてきた腫瘍の一部は進展の過程で接合する接合型の存在が明らかとなった. b)大腸発癌における系統差の解析 好発系のC3Hと嫌発系のC57BLのキメラマウス(C3H【tautomer】C57BL)において大腸発癌の系統差が代謝中枢である肝に起因するか細胞レベルの感受性の相異によるかを検索した.発生した大腸癌を系統特異抗体により免疫組織化学的に検討し,大腸上皮における腺管のキメラ率を求め,キメラマウスにおけるそれぞれ単独で上皮が構成されていたと想定した修正発生率において,C3H由来腫瘍は母系統の陽性対照と差がなく,嫌発系のC57BL由来腫瘍はC3HとC57BLの陽性対照と中間の発生率を示た.これらの結果は大腸発癌の系統差は肝における代謝と細胞特性の両者の関与が示唆された.
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