研究課題/領域番号 |
06670250
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
立松 正衛 愛知県がんセンター, 病理学第一部, 部長 (70117836)
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研究分担者 |
増井 恒夫 愛知県がんセンター, 病理学第一部, 主任研究員 (10190349)
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キーワード | キメラマウス / 大腸発癌 / C3H系統特異抗体 / マイクロサテライトプローブ / PCR / SSCP法 / 単クローン性増殖 / 系統差 |
研究概要 |
a)大腸発癌における系統差の解析 C3HおよびC57BLの正常組織のDNAを用いてそれぞれの系統において異なるパターンを示すマイクロサテライトプローブ(D12Jp1)を決定した。DMHで誘発されたキメラマウス(C3H【tautomer】C57BL)大腸腺腫および腺癌のマイクロサテライトプローブによるDNAパターンは、免疫組織化学滴に単クローン性の腫瘍はC3HもしくはC57BLどちらか一方、多クローン性の腫瘍は両者のパターンが認められ、それらは抗C3H系統特異抗体(CSA)による免疫組織染色の結果と完全に一致した。これらのことから抗C3H系統特異抗原は大腸腫瘍の発生と進展の過程で変化しないことがDNAレベルにおいて確認され、キメリズムの解析において免疫組織化学的な検索とあわせ、DNAレベルの検索であるマイクロサテライトプローブを用いたPCR/SSCP法の有効性が確認された。免疫染色とDNAパターンの検索結果により、大腸発癌の系統差は肝における代謝と細胞特性の両因子の関与が考えられた。 b)単クローン増殖を基礎とした前癌病変の解析 MNU誘発ならびにDEN誘発キメラマウス前癌発癌においてクローンの検討をCSAによる免疫組織化学とマイクロサテライトプローブ(D1Mit10)を用いたPCR/SSCPにより検討した。その結果、病変は単純性過形成、乳頭状または結節性過形成および扁平上皮癌に分類された。免疫組織化学の結果とマイクロサテライトのDNAパターンの解析結果は一致し、単純性過形成は多クローン性で、癌は単クローン性増殖を示した。乳頭状または結節性過形成は、多クローン性を主体とした変化であり、癌はその一部の単クローン性増殖に由来した事より、乳頭状または結節性過形成は前癌病変の集合体として多クローン性に構成されており、複数の幹細胞にイニシエーションが成立し、その一部が癌に至る事を示した。
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