研究課題/領域番号 |
06670251
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
|
研究分担者 |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
阿部 達也 秋田大学, 医学部, 助教授 (80128363)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
キーワード | 広東住血線虫 / Mesocestoides corti / 好酸球 / Th1 cytokine / Th2 cytokine / RT-PCR / IL-5 transgenic mice / IL-5 receptor α knockout mouse |
研究概要 |
本研究では次の事項が明らかにされた。1.広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis;Ac)を感受性の異なるBALB/cとC57BL/6マウスに感染させると、両系統共に感染後12-15日にピークを有する髄液IL-5の産生が認められ、これが髄液好酸球増多の主原因となる。2.髄液中のT細胞にはIL-5, IL-4, IL-2のmRNAの発現が認められるが、IFN-γのmRNA発現は見られない。3.2系統間で4種サイトカインの産生に著差は認められなっかた。4.Mesocestoides corti(Mc)を予めAc感染の7-18日前に感染させておくと、Ac感染対照群よりマウスの病態が改善し、死亡率も低くなる。これはMcとAcの重複感染群で感染後30日前後における虫体の回収率が低いことに起因する可能性がある。5.Mc感染群ではTh2サイトカイン応答が優位であり、Ac感染群と較べると、IL-2の産生も顕著である。6.McとAc重複感染で見られる病態の改善を4種のサイトカイン応答の差異により説明することはできなかった。7.IL-5 transgenic mouseにAcを感染させると、虫体は脳内で早期に殺滅され、一方このマウスの髄液好酸球レベルは対照のC3H/HeNマウスより著しく高い。8.Ac感染IL-5 transgenic mouse の髄膜血管周囲や虫体の周囲には好酸球の著明な浸潤が認められ、好酸球は脱顆粒している。9.IL-5 receptor α gene knockout mouseにAcを感染させると、ヘテロタイプやワイルドタイプのマウスに較べて脳内虫体の回収数が著しく多く、これとは逆に髄液中の好酸球は著しく少ない。以上のことから結論として、Acがマウスに感染すると、Th2サイトカイン、とりわけIL-5の髄液局所における著明な産生が起こり、その結果、髄液に好酸球増多が惹起され、この好酸球が虫体を殺滅する、と言える。
|