研究概要 |
マウスマラリアに対するワクチンモデル作成のためにまずP.berghei NK65 strain感染赤血球10^4個をBALB/cマウスに静注し生体防御に必要な細胞機構について調べた。静注後約3週間ですべてのマウスは死亡したが臓器検索の結果肝の重篤な障害が感染死の原因であると考えられた。ここで抗CD8抗体をvivoに投与しCD8細胞を除去しておくと肝実質細胞の破壊は増悪し急性感染死にいたるまでの日数も短くなった。ところが抗CD4抗体にてCD4細胞を除去しておくと逆に肝障害は軽く生存期間は著しく延長した。即ちCD8細胞が生体防御において大切でありこれとは対照的にCD4細胞は生体防御能を抑制することが示唆された。また抗Mac-1抗体の投与、あるいは脾摘出によっては急性感染死には影響がなかったことよりマクロファージ、好中球の関与は少ないと考えられた。 このようにマラリア感染の際、実際に生体防御に必要な細胞成分についてCD8^+T細胞が唯一必要な成分であることが判明した。このことはワクチンを行う際にも重要である。如何にCD8^+T細胞だけを感作するか?P・bergheiをマウスに感染させたあとどのようにしてCD4^+T細胞(特にTh2と思われる)の活性を押さえるかがワクチンの効果を左右するものと考えられる。現在、hsp70 7μgにP.berghei CS蛋白に由来するペプチドNDDSYIPSAEKI 1μgを結合させ、これでマウスを隔週2回免役しその脾細胞をin vitroでそれぞれ10^<-4>,10^<-5>,10^<-6>,10^<-7>モルの同じペプチドで刺激することによりキラーT細胞の誘導を行なっている。この中で10^<-7>モルで刺激したときに有意なキラーT細胞活性を認めている。
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