研究概要 |
平成7年度の研究は,IgE抗体産生能の異なるBrown norway(BN)とFischer(F)-344系統ラットを用いたin vivoでのサイトカインmRNA発現とin vitroでのIFN-γ産生の詳細な解析を中心に行われた.その概要および結果は以下のとうりである. 1.Nippostrongylus brasiliensis(Nb)感染前後の腸間膜リンパ節細胞(MLN)におけるT細胞由来サイトカインmRNAの発現をβ-アクチンを内部コントロールとした逆転写-PCR法により比較した.感染により1-2週目をピークとしたIL-3,IL-4,IL-5の発現が増加したが,IL-2,IL-10およびIFN-γの発現に一定の変化は認められなかった.また、IgE反応性の高いBNラットでは感染前後を通じてIL-3,IL-4,IL-5のmRNA発現がF-344に比べ有意に高いことを明らかとした. 2.感染前後のラットMLNからCD4^+,CD8^+T細胞を分離培養し,それぞれの細胞集団におけるIFN-γの産生を調べた.IFN-γ産生はいずれの系統においてもCD8^+T細胞が中心となっていることを明らかとなった.さらに系統間ならびに感染前後におけるCD8^+T細胞によるIFN-γの産生の差は明確ではなく,むしろIFN-γ産生は相対的なCD8^+T細胞数の違いと一致していた. 3.T細胞に作用する抗原を特定する目的でNb成虫からシステインプロテアーゼ(Cys P)を単離精製し,それが特異的IgEの標的となっていることを明らかとした.また,分泌排出抗原およびCys PがCon Aによって誘導されるMLN細胞のIFN-γ産生を濃度依存的に抑制すること,^3H-チミジンの取り込みからの抑制が細胞毒性にるものではないことを見出した.
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