研究概要 |
Cryptosporidium murisとマウスの系を用いて宿主の免疫応答の解析を行っている。現在までに得られた知見は下記の通りである。 1)BALB/cマウス(6週齢)ではオーシストの経口投与によって感染が成立し、多数のオーシストが糞便中に排出されるが、やがて自然治癒する。この自然治癒マウスにオーシストを再投与しても感染は成立しなかったが、免疫抑制剤を投与すると感染の再燃がみられた。 2)感染局所におけるリンパ球サブセットの動態を免疫組織化学的に調べた。胃粘膜内に浸潤するリンパ球の多くはThy-1.2(pan T)陽性で、かつThy-1.2,L3T4(CD4),Ly-2(CD8)陽性のそれぞれの細胞数はいずれもオーシスト排出数の増加と並行して非感染時の数十倍に増加し、感染治癒後も長期にわたって存続した。Ly-5陽性細胞(pan B)は感染極期に一過性に軽度の増加を示すにとどまった。初感染後オーシスト排出が陰転したマウスに比べ、再投与群ではL3T4陽性細胞の有意の増加を、免疫抑制剤処理群ではThy-1.2,L3T4,Ly-2各陽性細胞の有意の減少を認めた。 3)間接蛍光抗体法による抗C.muris血清抗体価は感染40日頃から上昇し、58日以降は全例1:256-1:1024陽性を示すに至り、オーシストの再投与および免疫抑制剤投与による抗体価への影響はみられなかった。 ヌードマウス、SCIDマウスを用いてさらに検討を進めているところである。
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