1)赤痢アメーバのwhole cellを材料とした場合にはフローサイトメトリー法では容易に検出できなかった核DNA量の微妙な変化が分離核を用いることで検出可能となった。即ち異なるDNA量をもつ核のpopulationの複合のpeakを得ることができ、その定量的解析が可能となった。このフローサイトメトリー法による対数増殖期、静止期におけるDNA量の変化から統計数学的な解析を試みた結果はG1-S-G2-M期からなる標準的なDNA合成サイクルである可能性を示唆した。(論文発表予定) 2)上記結果は無菌培養された赤痢アメーバについて得られた結果であり、その一生の大半を細菌の栄養に依存して増殖する赤痢アメーバの細菌共存下での細胞周期との一致性が問題となる。しかし、分離核を材料とすることで細菌共棲赤痢アメーバにおいても、核DNA合成サイクルのフローサイトメトリー法による解析が可能となった。 以上、本研究年度に得られた成果から赤痢アメーバは従来推測されていたような14倍体ともいわれる倍数体細胞とは考え難いことが示された。
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