1、ツツガムシのリケッチア保有の有無を簡便に知る方法として、蛍光抗体法の開発を試み満足のゆく結果を得た。この方法によりリケッチア保有系のツツガムシの維持にかかる労力が大きく軽減された。 2、上記の方法に型特異的モノクローナル抗体を用いることでツツガムシと恙虫病リケッチアの共生関係について従来から主張されてきた「一個体に複数の血清型のリケッチアが同時に共生する」という考えを否定し、一個体、一系統には一血清型のリケッチアのみが共生することが明らかにすることができた。 3、ツツガムシからリケッチアを排除するために抗生物質をマウスに投与し、これに孵化直後のリケッチア共生L.fletcheriを吸着させたところ、ツツガムシよりリケッチアを排除することに成功したい。その結果、これかを飼育して得た成虫及びこれらにリケッチア非共生の雄をかけ合わせたF1はすべて雌であったが、F2からF5では雄が生じ、性比が雄優位に逆転した。この結果より、リケッチア共生系のL.fletcheriで雄が生じないのはリケッチアの共生が原因であり、リケッチア共生の雌では孵化した段階で既に将来産む子の性が決定されているらしいという新たな知見を得た。また、このような操作により性比が逆転するという新たな疑問が提出された。 4、O.tsutsugamushiはこれまでの6型の血清型に分類されていたが、今回日本各地のリケッチア分離株を血清学的、遺伝学的に解析し、株特異性タンパク特異的モノクローナル抗体、同遺伝子のRFLP解析から型はさらに亜型に分類されることが明らかとなった。 今後は、1の方法を疫学調査に応用すること、3の実験を発展させ、リケッチアを有さないツツガムシにリケッチアを顕微注射してリケッチア共生系を作り出すことなどを計画している。
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