研究概要 |
Klebsiella pneumoniae K2型株の莢膜多糖体の生合成に関与する遺伝子領域cpsの大まかな構造に関して,1995にJ.Bacteriology 177:1788-1796を発表して以降,この領域に存在する遺伝子の発現調節機構がどのようになっているかを解析しつつある。現在,cps領域の発現を正に調節する2つの調節因子RmpA2とRcsBが作用するプロモーターの位置を特定しつつある段階である。これらの2つの調節因子はcps領域に存在する異なるプロモーター部位に作用しそれぞれ独立にmRNAの転写を促進することが示唆されている。また,静止期(S期)における莢膜多糖の持続性の生合成は,ORF3の上流に存在するプロモーターからの転写がS期においても持続し続けることがその背景となっていることが示唆された。また,このプロモーターの上流に存在する遺伝子がS期における持続的発現に関与することが示唆されている。こららの研究成果は,1997年の米国微生物学会の総会で発表する予定である。一方,K.pneumoniaeの莢膜多糖体の生合成には多数の遺伝子が複雑に関与していることが示唆されており,cps領域に見出された遺伝子の個々の機能に関しては,今後の研究課題として継続する予定である。
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