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1995 年度 実績報告書

コレラ菌エルトール溶血毒素の産生を制御する遺伝子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 06670291
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 耕一郎  大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30158274)

研究分担者 飯田 哲也  大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90221746)
本田 武司  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
キーワードコレラ菌 / 溶血毒 / 塩基配列 / 腸管毒 / フォスフォリパーゼ / コレラ毒素 / 遺伝子 / 蛋白質
研究概要

エルトール型コレラ菌の溶血毒非産生性変異株の一つNF404株でのTn5の挿入部位は構造遺伝子(hlyA)やその周辺領域にはないことが確認され,Tn5挿入領域をクローン化し,塩基配列を決定した結果,Tn5挿入部位に大腸菌のlysophospholipase L2(PLDB)と全領域に渡り高い相同性をもつコレラ菌のlysophospholipase L2の構造遺伝子lypAを見い出した.
今年度の研究で我々はNF404株では溶血性の欠失,フォスフォリパーゼ活性の低下ばかりでなくコレラ毒素の産生が完全に消失していることを見い出した.このことを確認するために挿入変異株を作製したところ,この株でもコレラ毒素の欠失が確認された.また,コレラ毒素高産生の569B株に対してもlypA挿入変異株を作製したところ,毒素産生性は1/1000以下の検出限界以下に低下していた.また,これらのlypA変異株をもちいてウサギ実験下痢試験を行ったところ,変異株は下痢活性を失っていた.
コレラ毒素産生性は転写因子ToxRが関与していることが知られている.そこでToxR遺伝子(toxR)をクローン化し,それをプローブとしてlypA挿入変異株と親株についてサザン・ハイブリダイゼイションを行ったところ,反応するDNA断片は変異株,親株で異なっていた.このことはlypAはtoxRの近辺に存在していることを示している.現在,挿入変異がToxRの発現を低下させたのか,LypAの産生消失が直接毒素産生に影響しているのかを,エルトール溶血毒の発現機構との関係を明らかにしながら,鋭意研究中である.
以上の研究から,今までToxRのみしか知られていなかったコレラ毒素発現機構にエルトール溶血毒発現にも関与する未知の因子が強く示唆された.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Yamamoto,K.,de Volle,G.,Xu,M.Miwatani,T.and Honda,T.: "Amino acids of the cholera toxin from Vibrio cholerae O37 strain S7 which differ from those of strain O1." Gene. 163. 155-156 (1995)

  • [文献書誌] Yamamoto,K.Shrestha,J.,Iida,T.,Yoh,M.and Honda,T: "Molecular epidemiology of Vibrio cholerae O1 isolated in Nepal." J.Diarrhoeal Dis.Res.13. 113-117 (1995)

  • [文献書誌] Honma,Y.,Yamamoto,K.and Iwanaga,M.: "Aberrant gene for E1 Tor hemolysin from Vibrio cholerae non-O1,NO37." FEMS Microbiol.Lett.133. 151-154 (1995)

  • [文献書誌] Nagamune,K.,Yamamoto,K.and Honda,T.: "Cloning of a new hemolysin gene of Vibrio cholerae O1." FEMS Microbiol.Lett.128. 265-269 (1995)

  • [文献書誌] Naka,A.,Yamamoto,K.,and Honda,T.: "Vibrio cholerae O139 produces a protease which is indistinguishable from the haemagglutinin/protease of Vibrio cholerae O1 and non-O1." FEMS Immunol.Med.Microbiol.11. 87-90 (1995)

  • [文献書誌] Adnan,S.,Yamamoto,K.,Tojo,H.and T.Honda.: "Cloning and expression of lysophospholipase L2 of Vibrio cholerae." Biophys.Biochim.Acta.(印刷中).

  • [文献書誌] 山本耕一郎: "「病気のバイオサイエンス」(担当:細菌ワクチン研究)" 大阪大学出版会, 8 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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