肺炎桿菌リポ多糖体をエポキシセファロース6Bに結合し、アフィニティーカラムを作製した。ヒト血清を透析後、CaCl_2を加え、LPS結合カラムで肺炎桿菌リポ多糖体に結合する血清蛋白を精製した。アフィニティーカラムに結合した蛋白を抗マンノース結合蛋白抗体で免疫ブロッティング法を用いて解析したところ、明らかにマンノース結合蛋白が含まれていた。しかしながら、他の蛋白の混在も認められたので、イオン交換カラム(エコノパックQ)を用いてさらに精製を試みた。マンノース結合蛋白の他に分子量約28000ダルトンの蛋白が混在していた。このため、スーパーロース6Bでゲル濾過を行い、分子量の大きい分画を得た。免疫ブロッティング法にてマンノース結合蛋白も明らかにその分画に認められた。還元下でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動でマンノース結合蛋白のみの分画とIgMの混在と思われる分画があった。IgMの混在する分画をヒトIgM抗体結合アフィニティーカラムでマンノース結合蛋白を精製した。ゲル濾過による分画またアフィニティーカラムでIgMを取り除いた分画には、非還元下で60万ダルトン、還元下で3万2千ダルトンのマンノース結合蛋白が単一バンドとして得られた。このことは、肺炎桿菌リポ多糖体にマンノース結合蛋白が結合することを示している。enzyme-linked sorbent assay(ELISA)でも肺炎桿菌リポ多糖体にマンノース結合蛋白が結合することが明らかになった。最近、マンノース結合蛋白はある種のセリンプロテアーゼと共に補体活性化に関与していることが明らかにされた。これは、肺炎桿菌リポ多糖体が他のリポ多糖体と異なり、レクチン経路を用いて、補体を活性化させることを示唆している。肺炎桿菌リポ多糖体の強力な補体活性化能にマンノース結合蛋白が重要な役割を果たしていることが推測された。
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