Epstein-Barrウイルス産生時においてウイルスゲノムはローリングサークル型複製様式によって複製される。この複製のDNA鎖伸長に関わるウイルス酵素はDNAポリメラーゼ複合体、DNAヘリカーゼ/プライマーゼ、一本鎖DNA結合蛋白質である。平成6年度においてはバキュロウイルス発現系で発現精製したDNAポリメラーゼcatalyticサブユニット(BALF5蛋白質)とDNAポリメラーゼ付随サブユニット(BMRF1蛋白質)との相互作用を明らかにした。 BMRF1蛋白質はBALF5蛋白質の示すポリメラーゼprocessivityを著しく上昇させる。又3'→5' double strand exonuclease活性を著しく促進させるが3'→5' single strand exouuclease活性については全く影響しない。この結果からBMRF1蛋白質はプライマー末端の二重鎖部分に結合しBALF5蛋白質と複合体を形成することによってBALF5蛋白質の示すポリメラーゼ反応及び3'→5' double strand exonuclease反応を著しく促進することが推定された。BMRF1蛋白質非存在下ではBALF5蛋白質はプライマー末端から離れやすくなり動いている時にはrecyclingがおこっていると考えられる。一方静止状態においては複合体を形成するとinitiation complexは不安定になることがchallenger DNA実験から示唆された。 又DNAヘリカーゼ・プライマーゼをコードすると考えられているBBLF4、BSLF1蛋白質を発現する組み換えバキュロウイルスの作成に成功し現在その精製及び生化学的性状の解析が進行中である。
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