研究課題/領域番号 |
06670326
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
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研究分担者 |
柳川 伸一 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183978)
足立 昭夫 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (90127043)
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キーワード | マウス白血病ウイルス / マウスエイズウイルス / マウス免疫不全症ウイルス |
研究概要 |
マウス免疫不全(MAIDS)ウイルスは、使用する動物が小型で安価なため、大量に使用しうることと、ウイルスの病原性が強く潜伏期間が短いことにより、非常にすぐれたエイズのモデル実験系である。この系をより有用なモデル系とすることを目標として、以下の結果を得た。 1.我々が分離した欠損型MAIDSウイルスDNAクローン(GIB)からその変異gag遺伝子のp15-p12-p30、p15-p12、p15、p12、部分をそれぞれ切り出し、MAIDSウイルスの介助ウイルスDNAクローン(BM5eco)のそれぞれ相当する場所に置き換えたキメラウイルスを作った。細胞にtransfectionするとBM5ecoDNAは自己増殖能を持ったウイルスを産出するが、G1BとのキメラウイルスDNAは増殖能を有するウイルスの介助を必要とした。各々のキメラDNAより作ったウイルスをC57BL/6マウスに接種した場合の病原性を検討した。この結果、MAIDSウイルスの病原性はp15とp12部分の両者の存在が必要であることが明らかになった。 2.C57BL/6マウスには、MAIDSウイルスの病原性発現に関与する遺伝子と高いhomologyを持つ内在性の遺伝子の発現がみられる。この遺伝子のcDNAクローニングを行ったところ、マウスの内在性レトロウイルス群に属する塩基配列をもった遺伝子であった。この遺伝子(EDV-2)がMAIDSマウスの起源である可能性を検討するためMAIDSマウスの介助ウイルスとのキメラウイルスを作り調べたところ、ECV-2のgag p12部分の核酸塩基配列に一部frame shiftを行えば、病原性のウイルスになることが明らかになった。以上の成績から、MAIDSマウスはC57BL/6マウスの内在性の塩基配列が内在性のレトロウイルスに取り込まれ、欠損などを介して、出来上がったと考えられる。
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