近交系Balb/cマウスの6から8週令の雄に、免疫原として日本脳炎ウイルス中山株をマウスあたり1×10^7PFUあるいは市販の不活化ワクチンをマウスあたり1/10ド-ズを腹腔内に1から2回投与した後、3から6週間後に、血清および脾臓を採取し、抗体および脾臓細胞の日本脳炎ウイルス抗原に対する反応性を調べ、以下の結果を得た。増殖試験における刺激抗原として、感染性のある日本脳炎ウイルスや、感染性のない抗原として日本脳炎ウイルス感染細胞や日本脳炎ウイルス組換えワクシニアウイルス感染細胞を固定・超音波処理後の遠心上清、さらに細胞外ウイルス様粒子を用いた。なお、番号は交付申請書に記載した研究実施計画に対応している。 1.感染マウスの脾臓細胞は、すべての日本脳炎ウイルス抗原による刺激に対して応答し増殖した。増殖細胞の表現型を細胞除去試験で調べた結果、CD4^+及びCD8^+のTリンパ球が主に特異応答に関与していた。 2.感染マウス血清中に中和抗体及び赤血球凝集抑制抗体が認められた。また、交付申請書に記載した免疫学的手法において、血清中抗体は日本脳炎ウイルスの構造・非構造淡白の両者に反応した。 3.市販ワクチンで免疫したマウスの脾臓細胞は、追加免疫後においても上記の種々日本脳炎ウイルス抗原による刺激に対して今回用いた濃度範囲内では増殖反応を示さなかった。 4.市販ワクチンで免疫したマウスの血清中には、種々試験により検知されうる抗体は認められなかった。 以上、感染マウスにおいて日本脳炎ウイルス特異的Tリンパ球の存在を明らかにした。これらの知見は、日本脳炎における免疫機構を解明する上に、また次年度の研究計画(候補ワクチンが誘導する特異免疫応答の解析・評価)を実行する上に極めて重要である。
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