日本脳炎ウイルス(JEV)感染マウスのリンパ球と抗体が、日本脳炎ウイルス蛋白に反応することを明らかにした昨年度の結果に基づき、今年度は、候補ワクチン(NYVAC/JEV及びALVAC/JEV)あるいは細胞外ウイルス様粒子(EP)で免疫したマウスのリンパ球や抗体の応答を調べだ。近交系Balb/cマウスの6から8週令の雄に、免疫原としてNYVAC/JEV、 ALVAC/JEV及びJEV(いずれもマウスあたり1x10^7PFU)あるいはEP(E量にして1-2μg)を腹腔内に1から2回投与した後、3から6週間後に、血清および脾臓を採取し、抗体試験および増殖・CTL試験に供し、以下の成績を得た。 1.これら免疫マウスの脾臓細胞にはJEV抗原に応答して特異的に増殖する細胞が含まれていた。 2.vP555(JEV prM/E/NSl組み込みワクシニアウイルス)及びvP410(vP555の親株)感染P815細胞を標的細胞に用いたCTL試験の結果、候補ワクチン接種マウスの脾臓細胞にCTL活性が認められた。表面マーカーを細胞除去試験により調べた結果、これらのCTLはCD8^+であった。また、prM、E、NSlを種々の組み合わせで組み込んだワクシニアウイルスに感染したP815細胞を標的として調べた結果、主にE蛋白を標的抗原にすると考えられた。また、EP免疫マウスの脾臓細胞にもCTL活性が認められた。 3.候補ワクチン接種マウス及びJEV感染マウスには、中和抗体、抗E抗体及び抗NSl抗体が検出された。また、EP免疫マウスには中和抗体、抗E抗体が誘導された。 以上の結果により、候補ワクチンは、マウスに液性・細胞性免疫を誘導することが明らかにされた。
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