研究概要 |
ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)の増殖様式と生物学について検討し、以下の実績を得た。 HHV-7の細胞親和性の検討:T細胞株15種、B細胞株2種、単球系3種、その他1種のヒト造血系細胞株につき、HHV-7の増殖が認められるかどうか検討したところ、CD4、CD8 double positiveの未分化細胞株SUP-T1のみがHHV-7の増殖を許容することが明かとなった。先に発見されたHHV-6が、かなり多くの細胞株で増殖が認められるのと対照的であった。また、SUP-T1細胞では、活性化臍帯血リンパ球におけるよりも、はるかに長期間にわたってHHV-7を産生し、この系で持続感染が成立する可能性が示唆された。 HHV-7のインターフェロン(IFN)および各種抗ヘルペス剤に対する感受性:臍帯血リンパ球を用いて,IFN-βに対する感受性を調べたところ、各株とも、50% Effective doseは、10^3IU/ml前後であった。また、アシクロビル、ガンシクロビル,AraA等既知の抗ヘルペス剤に対するHHV-7の感受性は、一般に低かった。 HHV-7とヒト免疫不全ウイルス(HIV)との相互作用:両ウイルスに感受性を示すSUP-T1細胞を用いて相互作用を検討することとした。まずSUP-T1細胞にHIVを感染し,HIV持続感染細胞株を樹立した。このCD4をdown regulateしたHIV持続感染SUP-T1細胞と親株SUP-T1細胞に対するHHV-7とHHV-6の感染態度の差異を検討したところ,HIV持続感染SUP-T1細胞はHHV-7の重感染に抵抗性を示すことが明らかになった。
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