研究課題/領域番号 |
06670366
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
木元 博史 国立予防衛生研究所, 免疫部, 研究員 (20225080)
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研究分担者 |
竹森 利忠 国立予防衛生研究所, 免疫部, 部長 (60114295)
柏田 正樹 国立予防衛生研究所, 免疫部, 研究員 (20270639)
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キーワード | pre B細胞 / μ鎖複合体 / 遺伝子ターゲッティング / 分化 / 免疫応答 / FACS / 骨髄 / 脾臓 |
研究概要 |
我々の研究室で単離した、μ鎖複合体の新たなメンバーと考えられる蛋白をコードする遺伝子8HS-20(Vpre-B3)に関し遺伝子欠損マウスを作製し、(1)B細胞の性状解析(2)個体レベルでの免疫応答の解析(3)RT-PCR法を用いたVpre-B3遺伝子の各B細胞分化段階での発現解析を行い、以下の知見を得た。 (1)T依存性抗原であるNP-CGに対する1次、2次免疫応答にてNP特異的IgG2a抗体価の亢進(約7倍)。 (2)(1)骨髄及び脾臓でのB細胞の産生は個体レベル、ストローマ細胞を用いたin vitroの系においてほぼ正常であった。(2)一部の個体でHSA,CD23の発現異常及びCD5の陽性B細胞亜群の数の変動が認められた。 (3)Vpre-B3発現トランスジェニックマウスではB細胞分画は正常であった。 (3)幼若B細胞株を対象とした生化学的解析によりVpre-B3がVpre-B1と会合する可能性が示唆された。またVpre-B3遺伝子発現が成熟B細胞分画にも認められた。 以上のことから、Vpre-B3遺伝子単独で骨髄B細胞の産生に影響を及ぼしている可能性は低いと考えられた。 しかし、(1)及び(2)(2)で認められた現象は機能的B細胞の産生にVpre-B3発現が関与する可能性が示唆され、今後の検討が必要とされる。 また、今後以下のようなことも指摘される。 (1)現在のところ上記Vpre-B3Tマウスで観察された現象とVpre-B3の機能といかに関連するか明らかにされていない。Vpre-B3遺伝子産物は細胞内でのμ鎖複合体会合に関係していることが示唆されていることから、Vpre-B3欠損によるμ鎖複合体の細胞内での会合様式への影響を検討することが重要である。このため、Vpre-B3Tにおける幼若B細胞でのμ鎖複合体の発現様式の解析、Vpre-B3Tマウス由来幼若細胞株を確立することが急がれる。 (2)これまでに明らかにされたB細胞の各分画異常及び免疫反応での個体間の差を更に明確にするためには個体間の遺伝的な背景を統一する必要がある。そのためC57BL/6への戻し交配が必要とされ、現在4代まで進んでいる。
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