研究概要 |
マウス未熟B細胞株から、分子篩クロマトグラフィーと2種のアフィニティークロマトグラフィーによって高度にCD45を精製し、CD45固定化カラムとビオチン化CD45を調製し、CD45と特異的に結合するタンパク質の検索を行った。 まず、マウスの脾臓を可溶画分と膜画分に分画し、それぞれの画分からCD45固定化カラムに吸着したタンパク質をSDS-PAGEで分析した.それぞれの画分にはCD45に結合するタンパク質が複数存在したが、ビオチン化CD45をプローブとしてウエスタン解析により可溶画分では分子量約70kDのタンパク質、膜画分では分子量約66kD,60kD,54kDの3種のタンパク質がCD45と特異的に結合することが明らかとなった。次に、CD45と特異的に結合する4種類のタンパク質がCD45のPTP活性にどのような影響を与えるかを調べた結果、可溶画分から調製したタンパク質のみが45のPTP活性を上昇(150%)させることが示された。 膜画分由来のCD45と特異的に結合するタンパク質がどの脾細胞集団に由来するのかを検討するために、ビオチン化CD45とThy-1によるFACS解析を行った。その結果、マウス脾細胞のうちT細胞の一部とThy-1抗原を持たない細胞(その多くはB細胞)の一部がビオチン化CD45と結合していることが明らかとなった。それらの結果から、膜画分から得られたCD45と特異的に結合する分子はT細胞およびB細胞の膜タンパク質由来であることが示唆された。 今後、これらのタンパク質の性状を解析することにより、CD45の詳細な作用機序を解明していきたい。
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