研究概要 |
これまで、私共は北海道中央圏において、心筋梗塞(MI)と関連するライフスタイルについての症例・対照研究を行い、「食事や睡眠時間が不規則」、「飲酒習慣がない、または過度に飲酒する」、「喫煙率が高く、喫煙本数が多い」、「仕事での負担・要求度が高く、裁量・自由度が低く、社会的支援度が低い」などのMIに特徴的な要因を検出した。 本年度は、日本電信電話株式会社北海道支社社員およびグループ社員(約12,000名)で1991年から1995年までの5年間にMIを発症した男性24名を対象として、危険要因の保有状況を調査した。発症前の受診記録票から以下の6要因について集計した。 1.喫煙:発症時喫煙 2.肥満:BMI124以上 3.高血圧:収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg以上 4.耐糖能異常:空腹時血糖110mg/dl以上 5.高脂血症:血中総コレステロール220mg/dl以上 6.低HDL:40mg/dl以下 心筋梗塞発症者24名の発症状時年齢は40歳〜58歳の範囲で平均年齢は49.9歳であり、危険要因の保有率は喫煙が92%,低HDLが64%、高脂血症が59%、高血圧が55%、肥満が54%、耐糖能異常が22%の順であった。これは男性全従業員における危険要因の保有率(喫煙59%、高脂血症29%、肥満25%)に比べていずれも高い率であり、MI発症者の危険要因保有率は、喫煙で約1・5倍、肥満、耐糖能異常、高脂血症で約2倍、高血圧で約3倍に相当した。 我が国(北海道)における危険要因の保有複合状況は、欧米とは異なっている可能性があること、また、それらの危険要因の形成と関連する特徴的なライフスタイルが検出されたことから、北海道においてもライフスタイルの改善をめざしたコホート研究を進渉させていく予定である。
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