入院リハビリテーション後の在宅脳卒中患者251名を対象として、バ-セル・インデックスと老研式活動能力指標を組み合わせた12項目拡大ADL尺度を用いてその機能的状態をアンケート調査した。調査項目としてバ-セル・インデックスからADL8項(食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣)、老研式活動能力指標からIADL4項目(バスや電車での外出、日用品の買い物、食事の用意、預貯金の出し入れ)であった。各項目で「自立」もしくは「できる」という場合に各々1点が与えられた。251名のうち、176名(このうち3名が死亡)から有効回答が得られた。死亡例を除外した173名を分析対象とした。平均年齢は61.6歳、退院から調査までの期間の平均は27.7月であった。退院時ADLが満点(8点)であったのが114名(65.9%)、7点以下が59名(34.1%)であり、平均得点は6.7点であった。したがって、約66%の者が退院時ADLが自立していた。拡大ADLの平均得点は8.3点であった。ADLとIADLに分けて検討すると、ADLとIADLが満点であったすなわち社会的自立であったのが46名(26.6%)、ADLが満点でIADLが3点以下すなわちADL自立であったのが50名(28.9%)、ADLが7点以下でIADLが3点以下すなわちADL介助であったのが77名(44.5%)であった。したがって、社会的自立とADL自立を合わせた96名(55.5%)が自立していた。機能的予後に生存分析を応用すると、退院時ADLが自立か介助かにかかわらず3/4の患者は少なくとも退院後2年目まで自立度を維持するが、3年目以降に急激に低下した。さらに、在宅における自立度(自立か介助)に関わる要因を検討すると、患者全体では退院時ADLばかりでなく、年齢、配偶者の有無、家族成員数および発症前社会適応状態など複数の要因が関連していた。また、退院時ADLが自立していた者では、家族成員数や発症前社会適応状態などが関連していた。すなわち、在宅脳卒中患者における機能の維持・向上には家族状況なども増えた治療的介入が必要であろう。
|