研究課題/領域番号 |
06670401
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 勝敬 東京大学, 医学部(医), 助手 (80157776)
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研究分担者 |
荒記 俊一 東京大学, 医学部(医), 教授 (00111493)
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キーワード | 環境有害因子 / 自律神経機能 / 心拍変動(CV_<RR>) / 有機溶剤 / 鉛 / 交感神経機能 / 副交感神経機能 / 神経影響 |
研究概要 |
(1)ノルマルヘキサン、キシレン、トルエンを使用している皮革製品作業者の自律神経機能(CV_<RR>)と神経伝導速度分布(および末梢神経伝導速度)を同時に測定した。その結果、末梢神経の伝導速度の速い線維成分と副交感神経機能がこれらの作業者で障害されていることが示唆された。有機溶剤による脳幹への影響は病理学および電気生理学的測定法で示されており、またトルエンは心臓自体への毒性が少ないことが報告されていることから、今回観察された副交感神経活動の低下は有機溶剤による中枢性自律神経(脳幹?)影響から生じた可能性が考えられた。 (2)ガラス細工作業に就いている鉛作業者で自律神経機能(CV_<RR>)および聴性脳幹誘発電位を同時に測定し、自律神経機能の低下(交感神経、副交感神経活動ともに有意に低下)を確認した。特に、鉛による交感神経活動の低下が著しく、これまでに観察された有機溶剤(ノルマルヘキサン、キシレン、トルエン、混合有機溶剤)と局所振動の暴露、慢性アルコール中毒の所見(これらでは副交感神経活動の低下が優位)と異なった結果が得られた。これらの作業者では聴性脳幹誘発電位潜時の遅延は見られなかったので、鉛の自律神経系への影響は末梢自律神経あるいは視床下部での障害が推定された。 (3)環境および産業医学領域の有害因子による自律神経機能に及ぼす影響に関する文献レビューを行なった。文献レビューの際の主要な着眼点は、環境および産業医学領域の有害因子の自律神経症状・徴候の有無であった。この文献レビューでは有害因子の脳幹、視床下部への電気生理学的、病理学的、神経内分泌学的影響についても検討した。これは、自律神経系中枢が脳幹および視床下部にあると考えられており、中枢性自律神経への影響も同時に検討するためであった。
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