日本人における運動と他のライフスタイルとの相互依存性を、また長期縦断研究により運動の肥満・血圧、疾病発生への影響を他のライフスタイルとの関連性の中で検討する目的で、83年4月〜86年12月(初回調査)までに一回以上富山県健康増進センターに受診された40〜59歳男性の内、87年4月〜91年3月(2回目調査)までに更に一回以上受診された2487人を基礎集団とし、その後の健康状態、ライフスタイルの変化を追跡した(3回目調査)。この結果平成6年度は1477人の対象者が調査された。調査内容は運動実施状況、食生活、飲酒、喫煙等のライフスタイル、肥満度、血圧、血液検査、心機能、呼吸機能等である。ただしこれら調査し得た人々は、この研究に参加可能な比較的若く、かつ健康な人が多かった。それ故これらの人のみの解析には大きなバイアスが生じる可能性が高く、未受診者の状況把握を可能な限り行うことが、集積された情報の適切な評価につながるものである。 基礎集団中初回受診時365人の人が高血圧、心臓病、脳卒中で治療を受けていた。これらの人を除いた2122人で初回時運動実施状況と2回目血圧値との関連を重回帰分析で検討した。この結果、中等度以上(活動代謝値0.08Kcal/kg・分以上)の運動の初回から2回目にかけての変化は収縮期および拡張期血圧いずれにても有意な偏回帰係数を示した。すなわち、中等度以上の活動代謝値を持つ運動の運動量増加は2回目血圧値と負の相関を示した。
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