スポーツの循環器機能に及ぼす影響を検討するため富山県健康増進センター受診者で初回受診時年齢が40から59歳までの男性の内初回受診時高血圧、心臓病での薬剤服用者、および脳卒中既往者を除き2487人を追跡対象者とした。追跡対象者に対してはセンター受診の勧奨を行い、平成7年9月現在2122人(85.3%)が受診した。本研究ではこの2122人を解析対象者とした。追跡期間は5年から9年であり平均追跡年数は6.3年である。 スポーツでの消費エネルギーは実施運動種目ごとに実施頻度、一回あたりの平均実施時間を聞き取り、活動代謝値、年齢補正値、体重をかけて一日平均値を算出し合計した。スポーツの活動代謝値の大きさの相違による身体への影響の検討する目的で、活動代謝値により軽度の運動と中等度以上運動に分けて検討した。軽度の運動とは今回活動代謝値が0.08Kcal/Kg・分未満のものとした。 解析の結果、初回時情報および初回時から終回時にかけての変化に関する情報を説明変数として重回帰分析を行った。軽度および中等度以上のスポーツを併せた総運動消費エネルギーで検討した結果、運動量の変化は血圧値に対して有意な負の偏回帰係数が得られた。 さらに、軽および中等度以上のスポーツを独立した変数として扱い同時に説明変数として検討した結果、中等度以上スポーツの初回から終回にかけての変化は収縮期および拡張期血圧いずれにても有意な偏回帰係数を示した。すなわち、運動量の増加は血圧値と負の関係を示した。
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