骨塩を急速に失ういわゆるFast bone losersは骨粗鬆症のHigh risk groupであり、その抽出は骨粗鬆症の真の2次予防に路を開くと見られる。平成6年度の研究で、中高年女性198人のCohortの4年間の追跡を完了し、腰椎骨密度だけでなく、血清Osteocalcin、骨型ALP、及び尿中Hydroxyproline等の骨代謝指標やLifestyle指標をdata base化した。平成7年度にはこれらを用いたScreeing法をROC分析などを用いて開発、確立することを目的にして研究を行い、以下の結果を得た。 1.平成2年からの2年間で同定されたFast bone losersはその後の2年間には必ずしも大きな骨量減少を起こしていなかった。骨量減少は閉経後約5年間にきわめて急速に起こったが、個人別に追跡すると、かなりの変動が見られた。 2.ある時点の骨代謝指標値によって推測できる骨量変化は高々2年間程度のもので、4年後の骨量は予測できなかった。したがって、2年程度の間のFast bone losersはある程度抽出しうるが、4年にわたってFast bone losingする者を正確に抽出するScreening法を確立することはできなかった。 Fast bone losersとSlow bone losersとの間に骨粗鬆症のLifestyle上のRisk factor保有率に有意差はなく、Fast bone losersが何らかのLifestyleによって発生するとは考えられなかった。 4年以上にわたり急速に骨量減少する者を事前に効率よく抽出することは、Lifestyleや現行の骨代謝指標によっては困難であった。今後、CrossLapsやOsteomarkのような新しい骨代謝指標を加えて検討を進める必要があろう。
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