研究概要 |
HCV抗体陽性率の高い長野県A町B地区及びC地区をモデル地区として行った住民の健康調査及び生活状況に関する疫学調査(1994年9月実施)を通して、HCVキャリアの肝機能値に関連する要因の解析を行い、以下の結果を得た。 1.HCV抗体量とGOT、GPT、ZTT、TTTが正の相関関係を、総コレステロール、トリグリセライドは負の相関を示し、肝機能障害の程度は抗体量に依存した。 2.HCV感染者でも非飲酒者の肝機能障害の程度はわずかだが、飲酒の影響で増強された。飲酒の影響を受けないとされているGOT,GPTも高値を示した。 3.γGTPは飲酒量に伴い上昇するが、HCV感染者では上昇率が3倍となった。 4.HCV感染と飲酒は互いに作用を及ぼし合う、すなわちHCV感染の肝機能障害を飲酒が増強し、飲酒による肝機能障害をHCV感染が強めることが予想された。 5.HCV感染者の肝機能障害に影響を及ぼす生活要因として、労働強度、睡眠および栄養摂取状況の可能性が示唆された。 これらの結果は、日本疫学会総会(第5回1995年1月、第6回1996年1月)および日本衛生学会総会(第65回1995年3月、第66回1996年5月)において発表した。
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