研究概要 |
本研究の目的は大腸がん集団検診の有効性の立証にあり、その検討にあたってモデル地区の大腸がん検診の成績を活用した。この大腸がん検診は、長野県朝日村(総人口約4,300人)において40歳以上の住民(約2,200人)を該当者として昭和57年より継続しており、まず便潜血検査によりスクリーニグを行い、要精検者には全大腸内視鏡検査を実施している。 1.モデル地区の大腸がん検診の成績の総括と解析 本年度はこれまでの大腸がん検診に関する基礎データを収集し、その解析を行った。 すなわち、モデル地区で昭和57年から実施している大腸がん検診の成績を総括し、受診率・要請検率・精検受診率・がん発見率・発見がん中の早期がんの割合などの指標を算定し、その推移を検討した。同時に、検診の精度を評価するため、発見がん症例の過去の検診受診状況も遡及的に検討した。 2.モデル地区の全大腸がん死亡者の確認 保健医療に関するモデル地区の独自資料、死亡票、病院カルテなどを通して、モデル地区における大腸がん死亡者の全員を確認した。 なお、検診の精度を間接的に評価するため、本検診外(病院)で発見されたモデル地区の大腸がん患者の確認も平行して行なった。 3.モデル地区における大腸がん死亡率の検討 日本全体の大腸がん死亡率を基準として、モデル地区の大腸がん死亡率の推移を検討した。具体的には、標準化死亡比を用いて、大腸がん検診の開始前と開始後、大腸がん検診の前期と後期の比較を行い、開始前および検診後期で標準化死亡比が低下していることを確認した。
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