平成8年度は、モデル地区の大腸がん検診に関する基礎データを引き続き集積すると同時に、症例対照研究や他地区とのSMRの比較研究を実施し、本検診の効果(有効性)に関する検討を行なった。 なお、本対照症例研究は平成8年度中に終了予定であったが、その検討成果が十分といえないため今後も継続して行なうことになった。また、本検討では検診効果を明確に立証するため、他の大腸がん検診地域との共同研究も考慮している。 1.モデル地区の大腸がん検診成績の集積 モデル地区の大腸がん検診の検討を継続し、受診率、要精検率、精検受診率、がん発見率、発見がん中の早期がんの占める割合などの指標を時系列的に算定し、検診評価のための基礎データの集積を図った。 2.症例対照研究 モデル地区の大腸がん死亡者全員を症例とし、同地域の居住者で症例と性・年齢などをマッチさせた対照を選定して、症例対照研究の手法による検診効果の検討を行なった。効果の判定は、症例と対照のそれぞれについて検診受診の有無を遡及的に確認し、Matched pairanalysisによりオッズ比を算出して評価した。 3.対照地区との比較 自然的・社会的条件を考慮した対照地区(大腸がん検診未実施地域または大腸がん検診の低受診率地域)を選定し、モデル地区と対照地区の大腸がん死亡率の推移を比較検討した。
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