研究概要 |
研究1:岐阜県T市の35歳以上住民全員を対象として実施された健康習慣に関する質問表調査の男性回答者(回収率92%)のうち生涯に20箱以上の喫煙歴のある男性12,238名から200名を無作為に抽出した。訓練を受けた面接員によるタバコ依存症の診断面接調査およびFTQの質問表調査を行ない、170名(85%)から回答を得た。この回答者に対して面接調査の6カ月後、新たに作成したタバコ依存症スクリーニング質問表を郵送し69名から回答を得た。タバコ依存症スクリーニング質問表(以下TDS)はCIDI 1.1版に含まれている10の質問項目を平易に改変して作成した。TDSの信頼性係数は中等度であった。現在喫煙者においてはTDSのスクリーニング効率がFTQより高かった。最適カットオフ点を前喫煙者に適用した場合にはTDSの感度は低くなったが、特異度は高かった。禁煙教室受講者では、有意ではないが、TDSに高得点を示した者は禁煙失敗の危険度が高かった。 研究2:調査協力の得られた男性喫煙者61名に、訓練を受けた面接員4名が、まず対象者にTDSおよびFargerstromタバコ依存度調査票(FTQ)からなる質問表調査を行ない、その後、CIDI日本語版面接によってICD10診断基準によるタバコ依存症、DSM-III-RおよびDSM-IV診断基準によるニコチン依存症の診断を行なった。両方の調査に回答した58名を対象とした。TDSおよびFTQの信頼性係数は0.81および0.64であった。いずれの診断でもTDSのスクリーニング効率はFTQより高かった。TDSの感度および特異度は特にICD10診断に対して特に高かった。各診断基準によるタバコ/ニコチン依存症の重症度とTDS得点とのピアソン相関係数は0.739〜0.794、重症度とFTQ得点との相関係数は0.368〜0.445であった(いずれもp<0.01)。これらの研究からTDSの信頼性は高く、特にICD10タバコ依存症のスクリーニングに有用と思われた。
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