研究課題/領域番号 |
06670411
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川村 孝 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10252230)
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研究分担者 |
太田 壽城 国立健康, 栄養研究所, 健康増進部 (00160507)
大野 良之 名古屋大学, 医学部, 教授 (10160590)
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キーワード | 成人病予防 / 冠危険因子 / 体力 / 運動療法 / 至適運動強度 / 無酸素性代謝閾値 / 最大酸素摂取量 / 初期値 |
研究概要 |
成人病の予防のために運動が推奨されているが、日常生活における合理的な運動のあり方はまだ確立していない。無酸素性代謝閾値(AT)は、運動生理学的に様々な問題を内包しつつも、運動処方における至適運動強度として最も優れていると考えられる。本年度はATを使った運動指導の効果について検討した。 愛知県総合保健センターの運動教室を利用した81人を対象とした。健康および体力に関する検査値を教室前後で比較し、統計学的検討を加えた。 6カ月間の運動指導の結果、体脂肪率、収縮期・拡張期血圧、総コレステロール、トリグリセライドが有意に減少し、ATおよび最大酸素摂取量(VO_2max)は有意に増加した。一方、空腹時血糖、HDLコレステロール、尿酸は有意な変化が見られなかった。初期値によって層別化すると、総コレステロールについては高度異常群より軽度高値を示す群で改善が顕著であり、受診者全体では有意な変化が認められなかった空腹時血糖についても軽度高値を示す群では低下した。また、VO_2maxの増加の程度と肥満度、総コレステロール、HDLコレステロールの改善の程度が有意な相関を示した。 運動療法は冠危険因子の改善に有効であるが、いくつかの因子については軽度異常者において改善が顕著であることが示された。ポピュレーションにおいては軽度異常者の占める割合が高度異常者に比べてきわめて高いため、運動療法の果たす役割は大きいと考えられた。また、改善の程度は体力の影響を受けることが示唆された。 なお、この検討は、対象数や分析方法を充実して、現在も継続中である。
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