研究概要 |
新しく開発した、実物大のフードモデルを用いた食品摂取頻度・摂取概量法(量・頻度法)の有用性を検討するために、地域住民の同一対象者64名(男女40歳〜69歳)について、この調査法と24時間思い出し法の二つの方法で栄養調査を行った。量・頻度法による栄養素摂取量は、エネルギー2258kcal、タンパク質85.1g、脂質53.6g、糖質319.4g、エネルギー比率は、タンパク質15.1%、脂質21.4%、糖質56.6%であった。量・頻度法は、24時間思い出し法に比較し、エネルギー、タンパク質、脂質、糖質の摂取量は、平均25%多く、食品群別摂取量もほとんどの食品で多かった。エネルギー比率は脂質で一致した。エネルギー、三大栄養素の摂取量、エネルギー比率の個人の値は、二つの方法間で有意な正相関を得た。食品群摂取量もほとんどの項目で有意な正相関を得た。また、24時間思い出し法で得られたエネルギー、三大栄養素の摂取量とエネルギー比率を3群にカテゴリー化して検討した結果、量・頻度法との間に正の相関が認められた。この調査法で得られたエネルギー、三大栄養素の摂取量は、国民栄養調査結果より多いがそれに近い値であり、エネルギーや三大栄養素の把握は可能であった。この調査法は、特別な技術を必要とせず、事前にこの調査法の指導を受けた調査員で可能であった。以上の結果から、この調査法は、地域住民の食事状況を集団として把握する方法として有用であることが示された。 次に,本調査法を用いて滋賀県内の6町村において血清総コレステロールの低下を目指した健康教育を無作為割り付けにより介入研究の方法で行った。対象者は,前年度の成人病検診において血清総コレステロールが240mg/dl以上であった者に参加を呼び掛け,応募したものである。介入研究の結果,介入群は対照群に比べて約7mg/dl低下することが認められた。
|