研究概要 |
低血糖様発作に関する疫学調査で回収したアンケートにつき、インフォームドコンセントの得られた者で、記入もれ項目を再度確認・補充した看護婦1769名につき解析を行った結果、 1、低血糖様発作の経験を有する者は28.8%であり、この内現職に就いてから経験した者が87.4%であった。発作の頻度は、滅多にないが経験したことの有る者71,5%、月・季節単位で起きる者23.6%、日・週単位で頻繁に経験する者2.9%であった。 2、症状は、低血糖が直接もたらすと思われる空腹感(71.1%)、脱力感(59.7%),自律神経系に起因する冷汗(39.1%)、手の震え(35.6%)や動悸、イライラなど、さらに中枢神経系に起因するを思われる集中力の低下(51.5%)、めまい(39.7%)などの訴えが多い。 更に、年齢をマッチさせたCase-Controle Studyをおこなった結果、「食後に甘いものを食べたくなる」、「突然空腹感に襲われる」および「自覚的睡眠障害」を訴える者が有意に高い事から、 1、看護婦をはじめとする夜間交替制勤務従事者は、Postprandial hypoglycemiaのメカニズムの関与が示唆される。 2、交替制勤務従事者は、発作の要因として、睡眠覚醒リズムの乱れおよび適応能の減退が考えられる。 以上の事から、夜間交替制勤務従事者における低血糖様発作は、新しい職業関連性疾患として位地付けられるものと思われる。従って、現在症状を有する者につき、インフォームドコンセントを得て、血糖の測定を行っており、さらに、今後Counter regulatory hormonesその他の測定を行いメカニズムの解明と予防につき検討を加えたい。
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