研究概要 |
高知県の平均的な農村地域の65歳以上の在宅高齢者を対象者とする追跡調査で、死亡情報と健在者からのアンケート調査による資料を得た。本年度は、これらの資料の解析を行い、1)対象者の6-10年目の死亡と追跡当初の生活構造との関連及び前半5年間の死亡の関連因子と後半5年間のそれとの比較、2)前半5年間の生活構造の変化と後半5年間の死亡との関連の検討をすすめた。検討結果及び研究経過は、以下のとおりである。 (1)追跡開始当初の1982年の生活構造と追跡期間中の2.5年から10年目までの4時点の死亡との関連を、生活構造のうち社会的ネットワーク5項目に注目し、性、年齢、追跡開始時の自覚的健康状態および日常生活動作を共変量とするCox比例ハザードモデルを使って検討した。社会的ネットワークが2項目以下の者の2.5年後、5年後、7.5年後、10年後の死亡のハザード比は、5項目すべてを持つ者に比べると、それぞれ1.24(95%信頼区間,0.68-2.24)、1.38(0.94-2.02)、1.62(1.19-2.21)、1.60(1.23-2.09)であった。追跡後5年を過ぎてから死亡との関連が現れ、10年目まで続いていることが確認された。 (2)前半5年間の生存者1,224名のうち、5年後の質問紙調査に回答した1,118名を研究コホートとして設定し、研究コホートを最初の5年間の生活構造の変化の有無によって分類する作業を行ってきたが、1982年及び1987年の資料のリンクにおけるコンピューター上の処理に時間を要し、今回の報告に間に合わなかった。
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