卵巣癌の罹患率が白色人種で高く、日本人を含む黄色人種では低いことが示され、米国に移住した日本人の卵巣癌罹患率が、白人のそれと在日日本人のそれのおよそ中間になることが示されている。このような卵巣癌罹患率の地域間格差や人種間格差と関連する要因を明らかにすることを目的とした。米国側では、1993年 8月から 5年間の予定でカリフォルニア州とハワイ州を調査地域とし在米日本人と在米白人を調査対象者として、卵巣癌の症例対照研究を実施している。日本側では、本研究者が中心となって北部九州を調査地域とし在日日本人を調査対象者として、米国側と統一した調査方法ならびに調査内容で卵巣癌の症例対照研究を行っている。 1.調査票の作成、印刷; 米国ハワイ州とカリフォルニア州で日本人と白人を対象に実施されている卵巣癌の症例対照研究に用いられている調査票「Study of Lifestyle and Women's Health」と調査項目が共通するように、日本語版の調査票を平成6年 8月末までに作成し、必要部数を印刷した。これは、在日日本人、在米日本人、および在米白人の卵巣癌罹患率の差異を説明するという本調査研究の主目的に取って、重要な作業であった。なお、調査票は乳製品摂取、その他の食習慣、飲酒、喫煙、受動喫煙などの環境要因と、生殖歴、家族歴、既往歴、乳糖不耐症などの宿主要因の項目からなっている。 2.卵巣癌症例群と対照群からのデータ収集; 平成6年9月より、作成した調査票を用いて、久留米大学医学部附属病院産婦人科、佐賀医科大学附属病院産婦人科、あるいは両大学の関連病院を受診した卵巣癌患者に対して、面接調査を実施している。対照群に対する面接調査も、逐次実施している。
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