研究概要 |
同種混合斑痕の血液型分離型判定を目的として種々の検討を行った.まず,分泌型A型とB型唾液の混合液を作製し,その型活性をELISAによって定量した.次に,モノクローナル抗Aまたは抗B(Biotest製)の100μlを加えて固相化した多数のマイクロタイタ-孔を用意した.孔をブロック後,上記混合液100μlを抗Aまたは抗Bを固相化したマイクロタイタ-孔に入れ,1時間反応させた.その後,検体を別のマイクロタイタ-孔に移して反応させ,この操作を10回繰返したのち,検体のABH式型活性をELISAで定量した.これは,抗Aまたは抗Bを固相化した孔により対応する型抗原を吸収・減量を意図するものであったが,検査結果には吸収効果は全く認められなかった.同様な検討をマイクロタイタ-孔に替えてニトロセルロース膜を使って行って.すなわち,モノクローナル抗Aまたは抗Bを固相化したニトロセルロース膜を唾液混合液に加え,A型またはB型抗原の吸収・減量を試みたがここでも効果は認められなかった.これは,固相担体の抗体補捉量が少ないためと考えられ,補捉量の大きな担体を選択・考案する必要がある. 異種混合斑痕の分離型判定のために,涙や羊水に特異的なポリクローナル抗体の作製を試みた.抗涙抗体を用いたサンドイッチELISAによって,涙と鼻汁を除いた各種体液のABH式血液型を分離型判定が可能であった.また抗羊水を用いたサンドイッチELISAによって,血液・尿・膣液と混合した羊水のABH式血液型を分離型判定することに成功し,これは嬰児遺棄事件などでの分娩現場の推定に役立つものと考えられる.
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